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箱詰式detective

 探偵は金色の顔を、箱の蓋をずらした隙間から半分のぞかせた。探偵はつねに箱詰めされている。そして組み立てられることがない。だから探偵の金色の顔は、机上から未だ離れ離れの手足や胴の詰まった段ボール(未開封)のちらばる床を、眺めるたびやや青ざめて見えた。
  助手は? 働き者であるはずの助手もまた、未開封の箱で雑然と積まれている。こちらはまだ醒める気配すらない。荷解きの済まぬ事務所に足を踏み入れた依頼 者は、探偵史上に類を見ない<組立式探偵>の推理術の恐怖に触れる機会をみすみす逃し「住所あってるよねえ?」などとつぶやきながらまた出て行く。薄暗い 巷へ。引き止めろ、黄金探偵。

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