« ガールフレンド爆破 | トップページ | 電話 »

齋藤くん

 齋藤くん、きみがくだものだったらよかったのに。きみがくだものなら私はよろこんで皮をむくよ、このナイフで。きみの頭をかかえこんでするする と、ナイフの下をすべらせていくと、太陽のひかりが透けるほどうすく剥けた齋藤くんの皮が私のひざのうえに包帯のように垂れてとぐろをまいてゆくよ。
  私は、こんなに白いスカートをはいているから、齋藤くんの皮のうらがわの、薄いピンク色がひざのうえできっとリボンのように引き立つはず。私は、きみへの プレゼントになったような気分を味わうよ。きみがくだもので、くだものが大好きな私はきみをナイフで剥いていく。すると君を剥いている私が大好きなきみへ のプレゼントにだんだんなっていく。なんて完結して、出口のないきれいなしくみなんでしょう。私はくだものが本当に大好き。たとえどんなくだものであって も。酸っぱくても、苦くても、かまわない。
 だけどきみはくだものなんかじゃない。だから私は齋藤くんのことが本当はだいきらい。私がきみにしてあげられるのは、もしきみがくだものだったら…と心の中で想像してあげることだけです。

|

« ガールフレンド爆破 | トップページ | 電話 »

小説(超短篇)」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/504612/9299894

この記事へのトラックバック一覧です: 齋藤くん:

« ガールフレンド爆破 | トップページ | 電話 »